イスラエル国会は7月中旬、メディア規制を大幅に強化する法案を可決した。与党連立政権が推し進めてきたこの改正は、政府がテレビやラジオ、オンラインメディアに対する規制権限を拡大するもので、報道の自由を懸念する国内外からの批判が相次いでいる。

政府権限の拡張と報道への影響

今回可決された法案は、メディア規制委員会の権限を強化し、政府が放送内容に対してこれまで以上に介入できる仕組みを作るとされている。特にニュース番組やドキュメンタリー、時事討論番組が対象となる見通しで、「国益」や「公序良俗」を理由とした規制が可能になるという。与党側は国家安全保障と社会秩序維持が目的だと主張しているが、野党や市民団体からは検閲に等しいとの批判が上がっている。イスラエルの主要メディアも社説で懸念を表明し、独立した報道機関としての立場が脅かされる危険性を指摘している。

国内の対立の深刻化

この法案は、ネタニヤフ(Netanyahu)政権が進めてきた司法制度改革の延長線上にある。昨年から続く改革路線に対し、市民の抗議活動は規模を増しており、大学や法曹界からも反発の声が上がっている。改正は連立与党の強硬派が強く推し進めたもので、国家宗教党など右翼政党の影響力が背景にあるとみられる。メディアの独立性が損なわれることで、政権批判の報道が減少する可能性が高く、イスラエル民主主義の根幹に関わる問題として認識されている。国内の分断はさらに深刻化する局面にある。

関連動画