イスラエルの税務当局が、宗教的極右派の多い入植地ベネイ・ブラック(Bnei Brak)で職員への暴力事件を受け、戦争被害補償請求の処理を一時凍結した。職員の身の安全確保を理由とした異例の決定で、イスラエル社会の分断の深刻さを映し出している。
職員への攻撃が相次ぐ背景
ベネイ・ブラックはエルサレム近郊の超正統派ユダヤ人主体の地区で、戦争による被害補償手続きをめぐり、税務当局の職員が住民から複数回にわたり攻撃を受けたとされる。補償制度は2023年10月のハマス攻撃以降、家屋損壊や生命喪失に対応するため政府が設けた制度だ。だが給付金額や支給条件をめぐり、住民と当局の見解が対立。不満を持つ極右派勢力による職員への脅迫や暴力が報告されており、労働環境の悪化が深刻化していた。
補償制度と社会的対立
イスラエルの戦争補償制度は、被害を受けた全市民の救済を目的としている。しかし支給プロセスが複雑で、審査に時間がかかることから、特に超正統派地域で不満が高まっていた。ベネイ・ブラックのような宗教的に厳格な地域では、政府施策への反発が強く、職員との軋轢が生じやすい傾向にある。税務当局の凍結決定は、職員保護を名目とした統制措置だが、実質的には補償手続きの停止を意味し、被害者への給付遅延につながる恐れがある。
政府内でも対応をめぐって意見が分かれており、公安当局による職員保護強化案が検討される一方で、制度そのものの見直しを求める声も出ている。極端な暴力行為に対する厳格な対応なしに、行政機能の継続は困難だ。
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