米国がUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)との関係を断絶する可能性を検討している。複数の関係者によると、バイデン政権内部でこの問題についての議論が急速に進んでおり、国務省と国防総省の間で異なる見解が示されているとみられている。
UNRWAはパレスチナ難民の教育や医療、生活支援を担当する国連機関だ。ガザやレバノン、ヨルダンなど中東全域で約570万人の難民を対象に活動している。米国は同機関の主要な財政支援国であり、毎年数億ドルの拠出を続けてきた。
イスラエルとの対立の深化
イスラエルはUNRWAが組織内部にハマスの関係者を抱えているとして、長年批判を続けている。昨年のハマスによる攻撃以降、イスラエル政府はUNRWA職員とテロ組織の関連性を主張する文書を提示し、国際社会に圧力をかけてきた。ネタニヤフ(Netanyahu)首相は繰り返しUNRWAの廃止を求めており、今回の米国の検討はイスラエルの要求に応じる形となっている。
一方で、国際人道支援組織からは反発の声が上がっている。UNRWAが撤退すれば、ガザの人道危機はさらに深刻化するとの懸念は根強い。ガザではUNRWAが総人口の約9割に当たる住民に対して食料やシェルター支援を提供しており、代替機関の存在は現実的ではないと指摘される。
国際社会への波紋
欧州連合やアラブ諸国がこの動きに強く反発している。中東の安定性を懸念する各国は、米国に慎重な判断を求める外交的な動きを急速に展開している。ゲラント(Gallant)イスラエル国防相はUNRWA廃止を歓迎する一方で、複数の欧州政府高官は人道危機の悪化を警告している。
米国の決定は来週中にも判明するとみられており、国連改革やパレスチナ問題の国際的な枠組みそのものを揺さぶる可能性を秘めている。政策転換が実現すれば、ガザ地域での紛争解決を更に困難にするとの見方が支配的だ。

