イスラエルの右派政治家ベザレル・スモトリッチ(Smotrich)財務相は、ヨルダン川西岸での入植地拡大政策を制度化するための措置を急速に進めている。建設プロジェクトの承認手続きを簡素化し、将来の政権が容易に方針転換できない仕組みづくりに注力する狙いとみられる。
入植地政策の「ロック・イン」戦略
スモトリッチ氏は7月中旬、イスラエル国防省内の部局再編と予算配分の変更を承認させた。西岸での建設許可プロセスを加速させ、既得権化を図る構図だ。この動きは彼の政治基盤である右派の支持層を固める計算が背景にある。新たな入植地計画が法制度レベルで組み込まれれば、後任の首相や財務相が撤回しにくくなる。スモトリッチ氏は現政権内での影響力維持を見据え、自らの政策遺産を盤石にする狙いと考えられる。
国際社会との対立激化
パレスチナ自治政府とアメリカは即座に反発を示した。バイデン(Biden)政権は二国家共存案を掲げており、スモトリッチ氏の動きはこの方針と相反する。イスラエル国内でも、政権内の穏健派から懸念の声が上がっている。ネタニヤフ(Netanyahu)首相は公式には距離を置きつつも、右派勢力の離反を恐れて強い抵抗を示せない状況が続いている。
和平交渉への影響
入植地拡大の制度化は、今後の中東和平交渉を一層難しくさせる可能性が高い。イスラエルが政策を法的に固定化すれば、パレスチナ側との交渉の余地が失われる。国際社会はイスラエルに対する圧力を強める構えだが、スモトリッチ氏の急速な制度化推進は、そうした外交圧力をかいくぐる時間稼ぎの側面も指摘されている。中東の安定性は一層損なわれる懸念があり、地域紛争の長期化が避けられない情勢にある。
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