ネタニヤフ(Netanyahu)首相がワシントンを訪問する。イランをめぐる政策でトランプ(Trump)政権と立場が異なるなか、依然合意できる分野での協力を模索する狙いだ。
トランプ政権とのイラン政策の溝
2026年のトランプ政権はイランとの関係正常化に向けた対話姿勢を示しており、段階的な経済制裁の緩和を検討しているとみられる。これに対しネタニヤフ首相は、イランの核開発とミサイル計画の脅威を強調し、制裁の継続を主張している。イスラエルにとってイランは最大の脅威であり、核兵器保有は国家存亡の危機と位置付けているためだ。
この対立軸は2015年の核合意(JCPOA)をめぐる過去の論争を彷彿とさせる。当時も米国とイスラエルの間にイラン政策をめぐる意見の相違があった。現在の状況は、地域の安全保障に関する米イ関係の根本的な戦略の違いを浮き彫りにしている。
ガザやシリア問題での協力模索
ネタニヤフ首相の今回の訪問は、イランでの折り合いがつかないからこそ、他の領域での連携強化を求める戦術的な動きである。ガザ地区の長期的な統治体制や、シリア情勢の安定化に向けた米イの協調の枠組みが協議対象になるとみられる。
中東地域の政治的安定化は米国の中東戦略にとっても重要であり、この点ではイスラエルとの利益が一致しうる。トランプ政権も完全にイスラエル政策を転換しているわけではなく、限定的な分野での共同歩調の維持を望んでいるとされる。
対話の限界と先行きの不透明さ
ただし訪問の成果には疑問符がつく。イラン問題での根本的な対立が解消されるわけではなく、外交的なジェスチャーに留まる可能性も高い。イスラエル国内では右派勢力がトランプ政権のイラン政策に対する不信感を強めており、ネタニヤフ首相への圧力も増している。
米国とイスラエルの関係は戦略的同盟として揺るがないが、個別政策での相違は今後も表面化するだろう。中東の不安定性が続くなか、両国の調整能力が試される局面を迎えている。

